孤風院 (こふういん)

ホール探訪 その1
所在地 : 熊本県阿蘇郡阿蘇町
 
孤風院外観熊本大学工学部の前身、熊本高等工業学校の講堂として明治四十一 (1908) 年に落成したこの建物は、熊本に残る明治期の洋風木造建造物の代表的存在であったが、老朽化が進み解体が取り沙汰された昭和五十一 (1976) 年、前 熊本大学工学部教授で建築家の故 木島安史 氏 (1992 年没) がこれを買い取り阿蘇町の現地に移築。自宅兼アトリエとして熊本を離れる平成三 (1991) 年まで使用。ここで氏の数々の建築構想が練られた。
 
孤風院とは coffin [仏:宝箱 / 英:棺桶] の音訳で、建物と人間との関係を問い続けた故人によれば、人がその中で 「大切な人生を育み、最期を迎える」 という、建物の本質的両義性を表す命名である由。
 
孤風院内部移築に際して、建物の長手方向の寸法がつめられ (中間部を省略)、孤風院の平面図は正方形に近い。張り出し式の正面ポーチの階段 (コンクリート基礎:H = 1 m) を上がると、回廊と飾り柱に囲まれ、ほぼ敷地面の水準まで掘り下げられた大広間 (L x W x H : 8 x 7 x 8 m) が目に飛び込んでくる。元来が講堂のためそのままでも高い天井が、長手方向の寸法を詰められ、床面を掘り下げられたことで、一層高く感じられる。掘り下げられた床面は新たに色大理石を張られた。紺色に塗られた外壁 (木部) はとてもシックである。

演奏会会場として孤風院を見た場合の美点と欠点は以下の通り:

  美点 1. 高い天井と石床に由来する良好な音響
  2. 掘り下げられた床面で演奏すると、聴衆はそれを斜め上から聞くため視界が
良好
(小規模なホールでは特に前席の聴衆の頭が視界を遮ることが多い)
  3. 建物が醸し出すポエジーと雄大な阿蘇を間近に望む素晴らしい環境立地
   
  欠点 1. 窓ガラス面積が大きいため、横方向の反射音が少ない
  2. 大きな楽器を搬入するのに、高さ 1 m の回廊部をはさんで荷物を上げ下げす
るのは重労働である
  3. 駐車場スペースが無いため、来場者の足は JR 豊肥線に頼らざるを得ない
  4. 木造建築物のため、火災防止上、照明ならびに暖房には細心の注意が必要
 
現在、建物内部の一般公開は オープンハウス の機会 (年に数回) に限られているが、ボランティアの手で内部の整備が少しずつ進められており、講演会や演奏会での一日も早い現役復帰が待ち遠しい。
 

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アップデート : 1999/5/03
by 遠山 祥一郎
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